先日の朝の凄くくだらない話。
『あー、ケツ痛え。超特大うん◯、大難産でさー、時間かかっちゃった。
分かる?あのミリミリ言いながら出てくるうん◯、久々の超大作でね。
我ながら見事な作品だったのよ。』‥とかなんとか。
お下劣ワード満載のセリフを言うだけ言って、遅刻のピンチ!と、仕事にダッシュで出かけた次男。
割とその手の下ネタ話は日常茶飯事だったりする我が家なんだけれど、
今回の話は、ちょっと引っかかったことがある。
次男の耳はちゃんと聞こえていない耳。
彼が3歳の頃に難聴が発覚したのだけど、医療で治るものではなく、補聴器を付けて本人が聞き取る努力をするだけの世界。
彼の聴力では、補聴器がないと、80〜90dB(デシベル)の聞こえ。
耳元で怒鳴った声が、辛うじて音として聞こえるという感じ。
補聴器をつけて、40〜50dBの聞こえになる。
40dBという数字は、健康診断では、難聴の疑いがありますと、要検査になってしまう数値。
彼にとっては、相手の口元を見たり、家族や親しい人では、話の流れから類推して一生懸命に聴いているという毎日なのだ。
その彼に『ミリミリ音』が、聞こえたという。
お下劣ワールドへようこそ‥的な話になってしまうのだけど。
そもそも、『ミリミリ音』という言葉は、世間一般で通用しないよね。(笑)
我が家では、それこそ、ウミガメの産卵のように、便秘気味の人が超特大うん◯を時間をかけて出産するかのように頑張って戦っている時の音だ‥というイメージなんだけれど、そんな音、普通は聞こえないよね。(なんというお下劣ワールドな家族なんでしょう。笑。)
彼が聞こえているというのなら、補聴器の効果を考えても、40dB以上の音が出ているということ。
それって、静かな部屋で普通に会話する時の声の大きさというイメージ。
『ミリミリ音』は、絶対にそんな大きな音のはずはない。(笑)
きっと漫画などの吹き出しで、イメージとして彼の頭の中に定着して、本人には聞こえている気持ちになっているんだと思う。
でも、彼には、ホントに聞こえていそうだけど。とっても不思議。(笑)
その他にも、ホントに聞こえてるの?ということがあった。
彼が子供の頃、夏になると、セミやカブトムシに夢中になっていた。
蝉時雨の中、捕虫網を持ってセミ捕りに行く。
一応夫が、セミ捕りを指南するのだけど、1本の木に何匹居るのか‥と、思うような会話もかき消されそうなほどの蝉時雨の中でも、『こっちから聞こえる』と、自分の耳を頼りにセミを見つけていた。
夜になると、カブトムシポイントに行こう!と夫にせがんでいた。
その場所は、市営の体育館の裏手の林で、その林は公園になっていて夜は真っ暗。
懐中電灯必須の場所。
少し行くと、樹液をたらしたくぬぎの木があるのだが、日中に場所は確認済み。
でも、真っ暗だし物騒だから、『お父さん、一緒に行こう』 というわけ。
夫も子供の頃は、ラジオ体操で早起きして近所の林でカブトムシ、クワガタを自分のシャツに這わせて遊んでいたと、豪語していた割には、大人になると虫が苦手になりつつあった。
だから、その場所が夜になるとどうなっているのか十二分に想像がつくので、逆に気が重かったらしい。
それでも、次男の連れてって攻撃に負けて2人で夜出かけて行くと‥。
案の定、まさに野生の王国。
樹液ダラダラポイントには、小さなクワガタ、蛾、ゴキブリ、カナブン、それを蹴散らすように大きなスズメバチがいた。
勿論、懐中電灯必須の場所なので、あまり長く光を当てていると、スズメバチが光に向かって飛んでくるかもしれない‥と、夫はびびっていたそうだ。
次男は次男で、ゴキブリと、スズメバチのあいだにクワガタムシが居るので、怖くて手が出せない‥だけど、クワガタ欲しい‥という状態。
そこへ、大きな羽音がして、何かが、夫の頭スレスレに飛んできた。
それが大きなカブトムシ。幸い、ゴキブリやスズメバチがいる場所から離れたところにとまってくれたので、無事にゲット。
その時は、夫は多分心からホッとしたと思うし、次男は次男で、カブトムシの羽音と一緒に鮮やかな記憶になっているという。
その時は、よほど嬉しかったとみえ、帰宅第一声が『カブトムシがブーンって飛んできたんだよ。』だった。
なにぶん、もう大昔の話なので、ホントに羽音が聞こえたのか、疑わしいのだけど、
彼の中には、カブトムシの記憶と共にその音も刻まれているようだ。
これも、ホントに聞こえているの?とシミジミ思ってしまったお話。
次男の友人の1人が、電車の運転席の後ろから車窓の景色を録画していた。
何駅か過ぎたところで、彼のすぐそばに女子高生2人が乗り込んできて、お喋りを始めたので、内心、激怒していたという。
せっかく、録画の為だけに電車に乗っているのに、女子高生のお喋りが入ってしまったので、その録画の価値が無くなってしまったと、怒っているのだった。
ちなみにその彼は、次男より聞こえていない、補聴器を付けたお友達。
申し訳ないけれど、音、聞こえているの?と思ってしまったが、次男曰く、
『車掌さんのアナウンスは、何言っているかわからないけれど、電車のガタンガタン‥という音や、踏み切りを通過する時、一瞬聞こえる警報機の音とか、楽しんでいるんだよ。』
‥というので、ちょっとびっくり。
聞こえというのは、客観的に表す時は、◯dBの音が聞こえるとか、音の大きさがものさしになるのだろうけれど、次男や、友人には、きっと私達と、違う音の世界があるんだろうな。
でも、『ミリミリ音』といい、気持ちが入ったり、イメージを持っていると、聞こえてくるのかなあ‥と、とりとめもなく色々なコトを思い出した出来事だった。