はじめの1歩

子育て終了、時間と心の余裕が出来たのでイロイロ手を出してみます。

そこにして下さい‥ではないけれど。

私の実父(じいちゃん)、94歳、名古屋で弟夫妻と暮らしている。

先日、弟より電話があり、じいちゃんの『老い』がまた1段上がってしまったという話だった。

また圧迫骨折してしまい、痛みを我慢して隠したり、寝ていれば治る‥と、数ヶ月前と同じ失敗を繰り返して、遂に自力で歩くのが困難になってしまったらしい。

現在は、車椅子必須になってしまったとのこと。

 

圧迫骨折していたと思われる時期に、何度か粗相をしていたという。

バレないように中途半端な掃除をするので、却って汚れて掃除が大変だったとも嘆いていた。

今までもトイレの間隔が短くなり、たまに粗相をすることがあり、せめて夜間だけでもオムツの利用をお願いしても頑なに拒否していたらしい。

更に圧迫骨折の痛みを我慢しているから、トイレに行くのも大変で‥という負のループ。

結局、強引に病院連れて行って圧迫骨折が判明した。

でも、相変わらずオムツは拒否している上に、夜中に何度もトイレ介助をお願いされるので、さすがに弟夫妻が疲れきって、有料老人ホームまたは特別養護老人ホーム入所を視野に、とりあえずショートステイでお泊まりしてもらうことになったという。

特別養護老人ホームの入居要件は、要介護3以上とのことだが、現在じいちゃんは要介護1。

更なる圧迫骨折で、要介護認定はクリアできそう‥というものの、ケアマネさんの前では、出来ないことも出来る!と言い張る、『老人あるある』状態。

寝不足状態な弟はキレ気味だったけれど、じいちゃん本人は、ショートステイも快適だったらしく嫌がっていない様子なのには救われる。

 

 

 

弟から話を聞いて思ったのが、オムツへのハードルの高さ。

何も、『そこにしてください』と、言っているわけではなく、万が一間に合わなかった場合の保険の意味のオムツなんだけれど。

じいちゃん自身が核家族でずっと暮らしてきて、ヒトの老い方を見ていないので、毎日が未知との遭遇になっているから、オムツは最終兵器のように思っているのかもしれない。

 

 

私自身も核家族でずっと暮らしてきて、老い方の見本といえば、義母と暮らした半年足らずのことだけ。

義母はオムツの必要性はなかったが、そうならないように努力しているのは私にも感じられた。

スローモーだったけれど自分のことは自分でやろうとしていたし、2回動脈瘤の手術を受けていたので、手術瘡を他人に見られるのが嫌で、デイサービスのお風呂は頑なに拒んでいた。

勿論、保険の意味のオムツも拒否していたけれど、手術瘡を理由にデイサービスのお風呂を拒むぐらいだがら、気持ちは充分に理解できた。

義母は3回目の動脈瘤が乖離してしまい救急車の中で意識を失いその数日後亡くなってしまったので、私は介護らしい介護はしていないし、オムツのお世話になる事もなく旅立って行った。

義母は生前、2回目の動脈瘤の手術の後、食事を食べずに体調を崩しかけたことがあった。

その時は、術後のオムツが嫌過ぎて、水分だけの摂取ならうん◯を、オムツにしなくてはならない恐怖を避けられると思った‥と、かなり後になって話してくれた。

ある意味、遥かに私より女らしい人だったので、オムツはかなりのストレスだったんだろうな‥とか、私自身手術入院の経験がなかったので、動けない時期にオムツということもあるんだ‥と、初めて知った。

そういえば、夫も似たような事を言っていた。

彼は、喉の手術を受けて、治療方針上、集中治療室にかなり長い期間入っていた。

意識が回復して、尿意を感じた時こと。

身体が動けないことはわかっていたので、心配になって近くいた看護師さんに尋ねると、『大丈夫ですよ。』

理解できずにいると、『尿道カテーテルが入っているから、そのまましても大丈夫ですよ。』ということらしい。

尿意を意識する前は勝手に尿道カテーテルで排出されていたのに、意識してしまうと、『出していいのだろうか‥』と、無駄に悩んだらしい。

ちなみに『うん◯はどうしてたの?』と、お下劣な質問をすると、あまりにも闘病が辛かったこともあり、殆ど覚えていないという。

また、その後、HCUという重症患者が入る病室にいた時に、手術を終えて意識を回復したばかりのおばあさんと思われる方が、弱々しい声で、『おしっこしたいんですけれど‥』と、何度も訴えていたそう。

でも、その時対応した看護師さん、『そのままして大丈夫ですよ。』

忙しいのか、それ以上のフォローがなかったようで、その後も何度か同じ訴えをしていたとのこと。

尿道カテーテルが入っているのか、オムツを当てられているのかわからないけれど、初めての手術、入院だったら、ホントにそのままして大丈夫なのか、不安になるし、オムツの感触があったら、ものすごい抵抗感があるだろうなあ‥。

看護師さんには日常でも、患者は未知との遭遇なんだから、もうちょっと説明してあげればいいのにね。

 

歳をとったり、病気などで身体が動かなくなったら、オムツは明日は我が身の問題なのかもしれない。

そう思うと、じいちゃんが頑なにオムツ拒否をする気持ちも少しはわかる。

でも、何もそこへしてください‥というわけではないので、そこは受け入れてほしいところ。

夜中に何度も起こされたり、汚れモノの始末をしている弟夫妻の腹立たしさも充分にわかる。

結局、施設のお世話になるのが最善なんだろうなあ‥。

コロナ禍前は、毎年春先にひとりで新幹線に乗って埼玉の我が家を足場にお墓参りなどをしていたじいちゃん。

ヒトの老い方の見本がなかった私にも、最終章に入ったことをヒシヒシと感じている。

 

 

 

冬晴れの近所の公園にて。