今週のお題「苦手だったもの」
久しぶりにお題に乗ります。
『苦手だったもの』と言ってまず最初に浮かんだのが、『乗り物』。
私、乗り物酔いする子供だったのです。
特にバス。私が子供だった半世紀前(自分の年齢にびっくり)のバスって、ガソリンのようなにおいが充満していて、本当に苦手でした。
当時住んでいたところが、繁華街のある駅まで、バスで20分。歩いても30分。
駅近くは慢性的に渋滞していたので、距離はそんなに無くても時間はかかるんです。
なので、バスに乗りたくないので、駅まで30分も苦にならず歩いたほどです。
乗り物酔いする子供にとって、最大の試練が学校行事の社会科見学でした。
都内の小学生でしたが、高学年になると、貸し切りバスでの都内見学で、国会議事堂とか、東京タワーとかだったような‥。
記憶が曖昧なのは、乗り物酔いとの戦いでいっぱいいっぱいで、目的地に着いた時はふらふらだったから。
添乗してくれている保健室の先生と一緒に、バスを降りて近くのベンチでぐったりしていた記憶しかないのです。
また、当時は乗り物酔いする子供はバス前方の席が指定席で、クラスに同じような境遇のお友達が何人かいました。
乗り物酔いしない子供達からはゲロゲロチームと言われていたことに気が付いていましたが、
ゲロゲロチームにも矜持があるんです。
『自分がファーストリバースにならないぞ』‥という矜持。
もう誰かがリバースしてしまうと、大抵ゲロゲロチームは全滅ですから。
お互いにそんなことをカミングアウトしたことはないのですが、言わなくても分かります(笑)。
幸いなことに、リバースせずに毎回学校に帰還できました。
バスを降りた時の解放感だけは今でも思い出せるほどです。
勿論、お弁当も300円以内というお約束のお菓子も一切手をつけていないので、ダッシュで帰宅して、やっと安心して食べて、親を呆れさせていました。
バスが1番の苦手の天敵状態でしたが、実は電車も好きではありませんでした。
それでも、新幹線だけはなんとなく大丈夫な気がしていたのですが‥。
今でも懺悔したくなる思い出があります。(ホントにごめんなさい。)
中学3年生の修学旅行でのことです。
その頃には、バス以外なら人より少し弱い程度に乗り物酔いを克服しつつあったのですが‥。
新幹線も進行方向に向いて座れば京都までなら大丈夫と、一生懸命自分に暗示をかけて乗っていました。
でも、その日の新幹線の運転手さんの運転技術がイマイチだったのか、ブレーキをかけながら走行するというか、時折後ろに引っ張られるような感覚を頻繁に感じる運転だったのです。
コレ、乗り物酔いする人しかわかって貰えない感覚のようなんですが‥。
もっと身近な例えでは、車の運転が下手な人のブレーキの踏み方‥カックン‥となる減速‥という感じが近いんじゃないかなあ‥。
とにかく、気持ち悪くなってしまい、トイレに行くことにしました。
もうトイレに行くと決めた時点で、『マーライオン5秒前』という感じ。
トイレのドアを思い切り開けた瞬間が『マーライオン3秒前』。
しかし、トイレには先客がいたのです。
半世紀近く前の新幹線のトイレは、今では罰ゲーム扱いされる和式のトイレで、ドアに背中を向ける作りになっていました。
何と、そこには、サラリーマン風のおじさんがしゃがんで用を足しているところでした。
今でも記憶に残っているのは、背広っぽい後ろ姿と黒っぽいお尻。
その時の私、ホントにびっくりして、ドアを開けたまま自分の席に逃げ帰りました。
あまりにびっくりして、『マーライオン3秒前』という切羽詰まった状況もリセットされ、無事に京都駅に着くことは出来たのですが‥。
でも、いきなりドアを開けられたサラリーマン風のおじさんにはホントに申し訳ないことをしました。
そのおじさんの過失といえば、鍵をかけずにトイレに入っていたことぐらいでしょうか。
私にもう少し余裕があれば、普段ならノックはしていました。でも、『マーライオン3秒前』からのカウントダウン状態だったんです。(しつこい‥。)
ただでさえ柄の悪い下町の中学生の修学旅行生と同じ新幹線でウンザリしていたかもしれない上に、いきなりドアを開けられ、しかもそのままなんですから。
恥ずかしいカッコをいきなり見られちゃったことも申し訳なかったと思いますが
しゃがんだ体勢から、ドアを閉めるのって、きっと大変だった思います。
せめてドアを閉めてから逃げ帰れば良かったと、反省しております。
ホントにホントに今でも申し訳なく思っています。
でも、不思議なことに、それ以降、新幹線で乗り物酔いした記憶はありません。
その後、高校進学以降は満員電車で通学や通勤となり、かなり鍛えられたと思います。
それでも友人と旅行に行くとか、職場旅行などは緊張しましたが、人並みに強くなりました。
子供が生まれた時だけはちょっと緊張しました。
私が赤ちゃんの頃から、どうやら乗り物酔いしていたらしい‥と、聞かされていたので、生まれてきた子供が乗り物酔いする子供だったらどうしよう‥と。
万が一、子供にリバースされたら、一緒にリバースしそうだなあ‥とか。
幸い、息子達は乗り物酔いの経験もなく大人になってくれたようです。
我が家では、夫が車loveということもあって、ワンボックスカータイプの大きな車ばかり乗り継いできましたが、3列シートの3列目は未だに少し気持ちが悪くなります。
そうは言っても、やはり年齢と共に乗り物酔いも克服したようで、今では新幹線に乗る時にはワクワクするし、かつては乗り物で飲食するなんて絶対無理だったのに、カチコチの固いアイスクリームも大好きです。
(このアイスクリームのワゴン販売がもうすぐ無くなってしまうそうで、残念ですね。)
ただ、バスツアーは半分より後ろの席になったらちょっと不安なので、まだ参加したことはないのですが、『鉄ちゃん』に育った息子の影響も受けて、電車に乗るのが目的の旅も面白そうだなあ‥と、思い始めています。
バスを筆頭に乗り物全般、苦手だったことが嘘みたいです。