はじめの1歩

子育て終了、時間と心の余裕が出来たのでイロイロ手を出してみます。

被害者の理不尽。

先日、東京渋谷で、53歳の母親と19歳の娘が刃物で襲われて大怪我を負ったいう事件があった。

殺人未遂で逮捕されたのは15歳の女子中学生。

『家族を殺そうと思って試した』とか、『死刑になりたかった』などと供述しているらしい。

この手の事件が起こると、本当に被害者の方がお気の毒でならない。

被害に遭った親子は、勿論1ミリも落ち度はないし、歩いているところを後ろからいきなり襲われたら誰でも防ぎようがない。

犯人の女子中学生には憤りしかないが、被害者がちゃんと補償を受けられるか、余計なお世話だけど心配になってしまう。

 

と、言うのも、うちの長男君、かつて通り魔的な暴力事件に巻き込まれたことがあり、その時、被害者の理不尽をたっぷり味わったのだ。

もう7年前の話。

長男が就職をして半年経った頃、新人のフォローアップ研修があり、1週間程度、会社の施設で缶詰になっていた。

研修が終わり、開放感でいっぱいの打ち上げで、同期達と六本木かなんかのクラブへ繰り出して、夜通し騒いで、シメのラーメン?を食べていた時のこと。

店に入ってきた客にいきなり顔面パンチを喰らったのだ。

長男は、瞼を1針縫う怪我をしたが、血が目の中に入ってしまい、一瞬にして何も見えないし、何が起こったのかわからない状態だったようだ。

犯人は泥酔状態で、たまたま店の入り口近くの席で食事をしていた長男をいきなりぶん殴ったということだった。

すぐさま、周りにいた客、仲間達が取り押え警察に引き渡したのだけど、ここから長男の理不尽体験が始まった。

 

まず瞼を切っていたせいか、出血も酷く、いきなり殴られていたので、救急車で某大学病院へ運ばれて、怪我の処置やCTなどを撮って念のための検査をしたんだそう。

病院での支払いはとりあえず本人負担で、それも健康保険が使えないので10割負担で、約4万円。

事故とか、今回のような暴行又は傷害事件の場合は、100%被害者であっても、病院側としては、一旦全額払ってもらい後日精算できればするという決まりなんですと。

その他の被害は、初給料で買ったGUCCIのメガネフレームがひん曲がり、ワイシャツやスーツが血だらけに‥。

 

警察の人から言われたのは、とりあえず少しはラッキーだったらしい。

理不尽だけど、相手が素手で殴ってきたからこの程度の怪我で済んだこと。

刃物を持っていたら、命がなかったかも‥ということらしい。

また、いきなり殴られて目に血が入ったので、相手に何も出来なかったこと。

何するんじゃ‥と、お返ししてしまうと、暴行事件から傷害事件に格上げになって、過失割合を争わなくてはならなかったんですって。

で‥、100%の被害者の誕生。

警察からは、大抵、この後示談交渉になるから、示談金で、医療費や他の損害賠償も含めてたっぷり請求するようにアドバイスしてもらったとのこと。

その日は、相手は泥酔状態だったこともあり、警察の人は、多分、ボンボンの馬鹿大学生だと思われるので、示談金をうんとふっかけてやれ‥と、一緒に憤ってくれていんだそう。

示談が成立すれば、前科がつかないことが殆どなので、必死に示談交渉して来るんだそう。

このケースは、大抵50万円請求して、30万円ぐらいで折り合うことが多いらしい。

ただ、相手が、全身ブランド品で身を固めていたので、ボンボンの馬鹿大学生という見立てで、100万円請求してもいいぐらいだと、一緒に憤ってくれていたらしい。

 

そして、一応会社行事(研修会)の後に巻き込まれているので、会社への連絡。

当初、直属の上司は、『始末書を書け』と、お怒りモードだったが、警察の人が、通り魔事件に巻き込まれたようなもので、全く落ち度が無い点や、100%被害者であることを代わって説明してくれたので、『顛末書』で、済んだらしい‥。なんだかなあ。

で、朝1番の電車に乗って、六本木からうちに帰ってきたんだけど‥。

瞼には大きな絆創膏と、いかにも殴られました‥という青あざ付きの顔に、着替えもないので血だらけのスーツのまま、電車に乗る羽目になり、早朝とはいえ、乗客が居ないわけではないのでみんな見ないフリするし避けられるし‥。

ご近所さんに見られなかったのが不幸中の幸い‥という感じ。

そして、長男は休日明けに、新幹線に乗って勤務地へ帰って行った。

 

その後、示談交渉が始まったが、最大の理不尽を味わうことになった。

長男の元にかかってきたのは、国選弁護士からの電話。

『本人も反省しているので、毎月1万円づつ2年間の支払いで‥』とか、言ってきたらしい。

合計で24万円ってこと?はあ、ざけんなよ!

全身ブランド品で身を固めていたので、ボンボンの馬鹿大学生と、勝手に見立てていたが、実は俗に言う『最強の人』(これ以上、失うものが何も無い人)だったのだ。

生活保護家庭の母子家庭、母は病弱、本人は飲食店アルバイト‥なんだそうで、まとまったお金を借りる能力もなく、毎月1万円の返済が精一杯の誠意なんだとか。

2年に亘ってこんな奴と関わるのは胸糞悪いし、冗談じゃない‥と思っていると、その国選弁護士、半ば脅すように『あなたねえ、そんな贅沢を言っていたら1円も回収できませんよ。相手のマイナンバーの番号も伝えるし、この人の能力ではこれが最善の策なんですよ。』と、のたまう。

当然こんな条件のめない‥と、電話を切ったのだが、その後連絡してくることもなく、

結局補償はおろか、本人からの謝罪の言葉も一切なく、今日に至っている。

相手がどうなったか、知る由ないし、知りたくもないけれど。

加害者に無償で国選弁護士が付くって何なの?

しかも、かなり質が悪そうな弁護士。

一時は腹が立って、こっちも弁護士付けてむしりとってやる‥と、思ったものの、その場合、こちらは自分で弁護士をお願いし、たとえ勝っても賠償金を回収できるかわからない上に、弁護士費用が掛かる。

こちらは、全く落ち度がない被害者なのにねえ、おかしいよね。

この時は、長男は厄年だったし、厄落としだと思って、もう一切関わらないことにしたとの事。

側で見ていた私でも、加害者に手厚く、被害者のフォローが無いなんて、理不尽すぎると、今でも腹立たしく思う。

今回の渋谷で起こった事件の加害者の家庭環境によっては、被害者が一切補償を受けられない可能性もあるわけで、この理不尽、どうにかしてほしいと、強く思う。

 

 

 

 

 

街路樹の百日紅が満開です。