はじめの1歩

子育て終了、時間と心の余裕が出来たのでイロイロ手を出してみます。

クロちゃんの思い出。

息子達が幼かった頃のお話。

一時期、なぜか、うちの庭に犬や猫が入り込むことが続いた。

最初は、パンダのようなブチの入った猫ちゃん。

庭で、ニャーニャー鳴き続け、まるでお家の中に入れてくれと言わんばかり。

当時、幼稚園児だった息子達が『猫ちゃんだ。』と、嬉々としてサッシを開けると、当たり前の顔して家の中に入ってきた。

息子達は大喜び。

この猫ちゃんの凄いところは、一瞬にして自分にとってのキーパーソンを見抜いたようで、次男にぴったりくっついている。

次男は初めてのことに困った笑顔を浮かべつつも嬉しそう。

でもよく見ると、足を怪我しているようで、足を引きずって歩いていた。

困ったのは、私と夫。

二人とも、今まで、犬や猫を飼ったことがないので、とてもお世話する自信はないし、そもそもお世話の仕方もわからない。

だから、飼えないよ、と息子達に話をしてサッシを開けて出て行くように促しても次男にぴったりくっついて動こうとはしなかった。

次男は、涙を浮かべ、『この猫ちゃん、怪我してるし、可哀想。』と、夫に訴える。

結局、当時次男に甘々だった夫は、猫の足がよくなるまでという約束でしばらく面倒をみることになった。

 

 

猫ちゃんの足が痛そうなので、お隣さんに教えてもらった動物病院へ。

受け付けのお姉さんにお名前は?と聞かれて、『猫ちゃん』と答えると、は?という顔をされてしまった。

事情を話し、診察してもらうと、骨折していて手術をする方がいいという。

ちなみに手術は8万円程度かかるという。手術しなくても治るけれど一生足を引きずって歩く可能性が高いという。

可哀想だけど、さすがに8万円は、無理なので、この日の診察とレントゲン代、5000円ぐらいを支払って帰宅した。

さてと、この猫ちゃん、しばらく飼うことになったのだが、名前は自然とクロちゃんと呼ばれるようになった。

今にして思えば、猫の飼育に超無知で、私達がしてあげたのは、籠にくたびれたバスタオルを敷いて寝床を作ってあげて、キャットフードを用意したことだけ。

トイレは、クロちゃんが、自らお風呂場に行き、排水口のあたりに用をたしていたり、次男にくっついてトイレに入り、次男が便器の蓋を開けるとちゃんとそこで用を足していた。

 猫を飼ったことがなかったので、猫のトイレのことをすっかり忘れていたのだけど、きっと前の飼い主がきちんと躾をしたんだろうなあなんて呑気に思っていた。

 

クロちゃんはどんどん元気になってゆき、お風呂場で用を足されると、超臭くて後が大変だったものの、相変わらず、キャットフードと、お水を用意してあげたぐらい。

足は、一生引きずって歩くはずが、すっかりよくなっている。

8万円の手術って何なの?と、一瞬思ったものの、元気になって良かった。

でも、元気になると、別の問題が。

もう家の中で、好き勝手をしだした。

タンスの上に登ってみたり、食器棚の上に登ってみたり‥。

猫としては、当たり前の行動なんだろうけれど、あっちこっちで粗相をしているわけではないのだけど‥。

猫を飼ったことのない私達夫婦にとっては、元気過ぎるクロちゃんの振る舞いが気になって仕方なかった。

足の怪我も完治したようだし、もうクロちゃん、お外に出すよと、息子達に話をしてサッシを開けると、クロちゃんは外へ出て行った。

息子達は涙目。

でも、約束だもんね。

寂しいけれどホッとしていたのだけど。

夕方になると、庭でニャーニャー鳴き続けている。

『クロちゃんが帰ってきた!』と、息子達は大喜び。

私自身、かなり心は動いたのだけど、転勤の可能性もあるし、まだ、犬や猫を飼うのは無理ということで、無視を決め込んだ。

結局、一晩鳴き続け、翌朝いなくなっていた。

心が痛んだけど、仕方ないよね‥と、思っていたら、またニャーニャーと。

その声を、お隣さんが聞いていて、引き取ってあげると、申し出てくれた。

お隣さんには、すでに猫ちゃんが3匹ぐらいいたはず。

本当に申し訳なく思ったけれど、クロちゃんをお渡しした。

その後。クロちゃんは、お隣でもクロちゃんと呼ばれ、可愛がってもらっていた。

お風呂場や、トイレで用を足していた話をすると、お隣さんはびっくりしていたけど。

クロちゃん、すごく賢かったようで、お隣さんの猫になってからは、うちの庭に遊びに来たら、塩対応されてしまった。

息子達は寂しそうだったけれど、猫にも仁義があるのよね、きっと。

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変な写真になってしまいましたが、クロちゃんです。