はじめの1歩

子育て終了、時間と心の余裕が出来たのでイロイロ手を出してみます。

まさに、老いの実況中継中。

老いの実況中継‥。

どこかで聞いたことがあるフレーズです。

介護保険制度創設の立役者で、91歳の評論家、樋口恵子氏のエッセイのような事態が起こりました。

主人公は、じいちゃん。

 

じいちゃんは、私の実父、現在95歳。

名古屋で、弟夫妻と一緒に暮らしていましたが、このコロナ禍で、みるみる老いが進んでしまいました。

コロナ禍前は、1人で新幹線に乗って我が家に滞在してお墓参りなどをこなしていましたが、

あっという間に、介護保険の要支援1、要介護1‥となり、昨年は、デイサービスデビュー。

行くまでは、嫌そうな雰囲気だったものの、意外と楽しめていたようでホッとしたのも束の間、圧迫骨折が判明したり、軽症だったけれどコロナ貰っちゃったりで、老いの坂道をブレーキかけながらゆるゆると進んでいました。

そして、昨年末ごろから、目に見えて老いのスピードが加速したようで、要介護3。

運良く、デイサービスで利用していた施設の特別養護老人ホームへ入居したのが数週間前でした。

その特養では、未だに面会の規制が厳しく、事前予約制で1人づつで15分というルール。

先日、弟が面会に行き、彼のスマホでLINEのビデオ通話を使って私もスマホ越しに、久しぶりにじいちゃんの様子を見ることができたのですが、なんだか生気に欠けるような雰囲気を感じていたのです。

そこで、また名古屋まで会いに行ったほうが良さそうだなあ‥と思い始めていました。

でも名古屋まで行っても面会は15分だけなので、観光と組み合わせたいなあ‥などと余計なことも考えていたところに、事件発生です。

 

弟より電話がありました。

『じいちゃんが、救急搬送されて入院した‥。』と。

一瞬、ドキリとしましたが、電話の向こうの弟は冷静で、半分怒っているようです。

『じいちゃん、誤嚥性肺炎でK総合病院に入院することになったから、手続きしてきたんだけどさ‥。』

どうやら、すごい緊急事態というわけではないようです。

このところ、熱があって食欲がなかったので、誤嚥性肺炎を疑い入院措置となったようで、本人も、なんで救急車?と、思うほど元気だったようです。

お医者さんの診断では、誤嚥性肺炎の治療で、入院期間は1週間から1ヶ月の見込み。

入院期間に幅があるのは、95歳という高齢なので、何があるかわからないということ。

パッと見はお医者さんには、80代に見えたそうですが、検査をしてみると、内臓はしっかり95歳なので、油断できません‥とのこと。

なので、万が一の時の延命措置は希望しますか?と、じいちゃんが横に居るのに聞いてきたので、戸惑っていたら、じいちゃん自身が『そんなもん、要らない。』と、拒否して、その後は不機嫌だったらしい‥。

多分、そのやり取りで、本人は入院なんて大袈裟と思っていた気持ちが揺らいだのでは‥という気がする‥と、弟。



 

弟が怒っていたのは、お医者さんに対してではありません。

じいちゃんに対してでした。

今回の誤嚥性肺炎も事情を聞くと、自業自得なんだよね‥ということのようです。

特養に入居してから、入れ歯や口腔の手入れをサボっていたそうで‥。

職員さんの声かけに対して『やったよ。』と、嘘をつき、痰が絡む時はティッシュに出すようにうるさく言われていたのに、殆どやっていなかったらしくて‥。

特養入居前は、そのあたりは、義妹がしっかり管理してくれていたので、何の問題なく過ごしていました。

じいちゃんにとっては、罰当たりなことに義妹は口うるさい人だったようですが‥。

義妹は、3世代同居家庭で育ってきて、自身のおばあちゃん、両親を既に見送っています。

かつて、おばあちゃんや両親が通ってきた道が分かるので、先手先手で対応してくれているのですが‥。

じいちゃんにとっては、『そんな大袈裟な。』とか、『自分は大丈夫。』と、殆ど耳を傾けず、かなり具合が悪くなってからカミングアウトというパターンでした。

今回も、また‥。

‥ということで、弟は半分怒りながら、私に報告してくれたのでした。

 

じいちゃんも、もっと素直に人の言うことを聞いてくれたら、自分自身も辛い目に遭わずに済むのにね‥。

と、思う反面、自分自身が核家族で暮らし、人が老いていく姿を見ていないので、言葉で注意されても、その深刻さまでは理解出来なかったのでは‥と思いました。

それは、じいちゃんだけでなく、私達夫婦も同じで、夫の両親も長患いせず亡くなっているので、人が老いていく姿を殆ど見ていないのです。

誤嚥性肺炎‥。老人の疾病ではよく聞く名前ですが、私も正直なところ、ちゃんと理解しているわけではなく、ふわっとした理解(笑)です。

嚥下機能の低下で、誤嚥を起こして、肺にバイ菌が入って肺炎になる‥みたいな。

被災地の避難所のお年寄りの口腔ケアが、重要な誤嚥性肺炎防止に繋がるとニュースで報道されていても、今一つピンと来なかったのですが、今回のじいちゃんの一件で、『そういうことか!』と、今更、気がついたほどです。

飲み物、食べ物の誤嚥だけでなく、口の中が不衛生になってもバイ菌が誤嚥されて肺炎になっちゃうんですね。

これからじいちゃんは、絶食して、点滴で、栄養や水分を確保して抗生剤で肺炎を治療するとのことです。

かつて喉の手術して誤嚥性肺炎予防の観点から数週間に亘って口からの飲食を禁止された経験のある夫曰く、とても辛かったそうです。

栄養、水分は点滴などできっちり入っていても、口の乾きは感じて水を飲みたくて飲みたくて夢にまで見たし、かなり元気になった頃にうがい許可された時は、心から幸せを感じたとか、少しこっそり水を飲んだとか‥(笑)。

じいちゃんがどこまで、厳しい管理下での治療になるのか、私にはぼんやりとしかイメージができないけれど、じいちゃんにとってはきっと辛い治療になることでしょう。

来週末以降まで入院が長引きそうなら、名古屋へ行こうかな‥。

‥というわけで、ここ数日、バタバタしています。