夫が、インプラント術を受けることになった。
元々、歯は丈夫とは言えないところに、かつて大病を患った際に受けた治療の後遺症がじわじわ出てきて、遂に上の奥歯3本がダメになってしまった。
現在の夫は、普通の歯科の治療そのものも大変だし、更にインプラントとなると入院して全身麻酔の必要があると言われ、個人クリニックの歯科では断られていた。
で、結局、かつての大病を治療してくれた総合病院の口腔外科で対応してもらえることになった。
当初、その口腔外科は対外的にはインプラントはやりませんという姿勢だったのだけど、どうやら、そうしないと患者が殺到してしまうらしい。
他では対処がめんどくさい訳あり患者は引き受けますよ、ということらしい。(笑)
でも、インプラントって所謂、自由診療というヤツで保険外の治療で全額自己負担。
今回の治療で、ちっこい車が買えるほどのお金が飛んでいってしまう。(涙)
勿論、治療に入る前から、お医者さんからもしっかり説明があったのだけど、診察室で、金額の話まで出てくるのも自由診療だからということなんだろう。
インプラントをする前にレントゲンを撮ったりCTを撮り、歯茎の骨の状態などの検査をして、やっとGOサインが出た。
そして、その検査の為のレントゲンやCTのお金も全額自己負担になる。
夫の場合、かつて大病を患った際、同じ病院で、同じ施設で、同じようにCTなど撮ってもらったのに、支払う金額は7割増し。
混合診療が認められていないから、当然ではあるものの、実際に自分がお金を支払う時に、シミジミと健康保険のありがたみを感じてしまう。
きっと、この先インプラント術を終えて、支払う時に、カード決済できるかなとドキドキするんだろうな。
前回入院した時、約40日入院して、健康保険を使っても今回と同じぐらいの金額をカード決済できるか、ドキドキしながら支払った。
でも、高額医療費制度とかいう有難い制度で、8万円ぐらいが上限で、はみ出した分は後から戻ってきた。
大きな病気になって初めて実感する健康保険の有り難さ。
インプラントはまだまだ贅沢な治療法で、これを認めてしまうと、健康保険制度が立ち行かなくなってしまうのだろう。
インプラントなら、命の心配はないけれど、これが、標準治療では効き目がなくて標準治療以外の自由診療しか選択肢が無い場合は、『お金がーっ』なんて言ってられない。
アメリカみたいに救急搬送されてもまず保険をチェックしてそれから治療とか、病気や怪我の治療費の支払いで家を失うとかという話も、自由診療の高額さを思うと、なんだか身近な話に思えてしまう。
逆に、近所のクリニックの激混みを目の当たりにすると、なんだかなあという気持ちになる。
治療費が全額自己負担だったら、こんな些細なことで病院に行かないよね‥と、思われる元気に世間話している患者さんを見かけることもある。
もっとも、空元気かもしれないけれど。
その昔、セカンドオピニオンを受ける為に初めて保険の効かない診察を受けたことがある。
治療方針で、と、ある本の著者のお医者さんにセカンドオピニオンを依頼した。
メールで申し込みをして、日程を調整してから、今までの治療の記録をまとめてメールした上で、主治医から紹介状を書いて貰うように指示された。
1時間程度の相談で当時2万円ぐらいかかるのだから、そのお医者さんも時間を有効に使って私がしっかり納得できるセカンドオピニオンにする為の指示だった。
結局2時間近く説明してもらった。
このお医者さんに相談したのは、抗がん剤にまつわることで、所謂怪し気な新しい治療法ではない。
初めてだったこともあり、正直なところ、健康保険が使えないというのは高いと思ったのだけど、クリニックを開業している時間を、私の為だけに使っているんだから、正当な対価だと、セカンドオピニオンを終えた時点では感じていた。
また、夫の主治医の診療も深刻な病状だったこともあり、診療に時間はかかるし丁寧に対応してくれていた。
でも、金額の話をしてしまうと、健康保険サマサマで、申し訳ないぐらい。
逆に言うと、健康保険が無かったら、とんでもなく高額な治療を毎回当たり前に受けていたってこと。
普段は、何も感じないけれど、シミジミありがたみを感じている。
一方、夫が定年退職すると、今まで、給与天引きで意識していなかった健康保険税などの様々な税金の金額にビックリする。
滅多に病院に行かない私は、コスパ的には最悪で、払いっぱなしだけど、こればかりは元を取りたくないし。(笑)
インプラントから、健康保険のありがたみを感じた今日この頃、1番幸せなのは、何の不自由もなくご飯を美味しく食べられて、ダイエットを趣味にして(?)、病院に行かないで済んでいること、ですよね。(笑)
近所に散歩に行ったら、今頃コスモスが満開でした。