はじめの1歩

子育て終了、時間と心の余裕が出来たのでイロイロ手を出してみます。

栗拾いの思い出🌰

9月に入り、スーパーの野菜売り場も少しずつ秋を感じるようになりました。

枝豆、トウモロコシ、スイカの売り場が狭くなり、さつまいも、カボチャ、ぶどう、梨が増えてきました。もう少しすると栗が出てきますね。

食欲の秋到来です。

栗と言えば、もう20年以上も昔の栗拾いの思い出話、お付き合いください。

 

まだ蒸し暑さが残る9月の日曜日だったと思います。

家族で、車で1時間半ぐらいかけて栗拾いに出かけました。

渋滞にもあい、栗拾いの出来る栗農園の山に着いたのはお昼過ぎ。

栗園のおばさんは、『午後はいい栗がないかもしれないけどいいかしら。』

なんでも、栗は早朝に熟した実が落ちるそうで、落ちて時間が経つと味は落ちるし虫に食われたりするそうで、栗拾いするなら、午前中のなるべく早い時間がいいんですって。

そのせいか、お客さんはうちの家族だけでした。

私自身、栗拾いは初めてで、大きなトングを借りて栗拾いを始めました。

しかし、ヤブ蚊がすごい。

ボコボコに刺されても、初めての体験なので、幼い息子達も大喜びでした。

長男は途中で飽きていましたが、次男は、自分が拾い損ねた栗が山の斜面を転げていくと、大喜びで、キャッキャと大笑いしていました。

その姿を見て、私と夫はガッツポーズ。

 

その頃は、次男の難聴が判明して、彼の療育に手探りの時期でした。

彼は首のすわりが遅く、脳性麻痺の疑いがかかっていた時期があったりして、少し周り道して3歳を過ぎて難聴が判明しました。

全く聞こえない耳ではないものの、言葉の音域の聞こえが悪く、音は聞こえるけれど言葉は聞き取れない耳だったのです。

3歳にして理解語が2つか3つという検査判定も出ていて、私自身、かなり焦っていたし、かなり必死な思いを抱えていました。

(理解語とは、発音が不明瞭でも自分から意味を理解して使っている言葉を指します。)

障害者の療育施設での教育は無理ということで、ろう学校の幼稚部に年中さんの年齢で編入していましたが、そこでも、彼は、何にもできない赤ちゃんでした。

週に1回の絵日記のお勉強は、本人ではなく私が毎回がっくり泣きそうな気分になっていました。

絵日記のお勉強というのは、本人または親が絵を描き、その絵を元にお話をするというもの。

同じクラスのお友達は、どうにかこなしているのに、次男は絵日記が大嫌いでした。

その時間になるとふてくされていたり教室から脱走したり。

そもそも準備の段階から露骨に嫌な顔をして知らんぷりしていたし。

今にして思えば、何をしているのか分からなかったと思うのですが、私は、どうしたら、まずは取り組んでくれるんだろうという思いでいっぱいでした。

彼の場合、3歳過ぎまで言葉の無い世界で生きてきて、いきなり、幼稚園みたいなところに、通うことになり、いきなり、『お勉強』を強要されるようなものです。

絵日記なんて、まさにお勉強臭プンプンだったんでしょうね。

当時の私の頭の中は、言葉、言葉、言葉‥。

絵日記のお勉強で1個でも言葉が増えてくれれば御の字のつもりでいたのす。

だから、絵日記の題材になりそうなことは、何でも取り入れていました。

彼は電車loveだったので、長男を幼稚園に送った後は、踏切や車両基地が一望できる歩道橋の上に1時間以上佇んだこともあります。

見慣れない電車が通過すると大喜びしているので、これは絵日記の題材になるぞ‥と、内心ほくそ笑んでいたのに、絵日記となると、あっさりスルー。

週末のお出かけも、絵日記の題材探しのようなものでした。

で、ある時、スーパーの野菜売り場で、栗のイガと一緒に栗が飾ってあり次男は興味しんしん。

私も夫も栗拾いなんてしたことがないので、行ってみようかということになり、栗拾い農園に行ったというわけです。

 

栗拾いの方は、どちらかというと、私と夫が夢中になり、長男は蚊に刺されて嫌気がさして、栗農園の飼い犬を撫で撫でさせてもらっていました。

次男は、とにかくトングで掴み損ねた栗が山の斜面を転げて行くのが楽しかったようでした。

結局、蚊にボコボコに刺された割にはあまり拾えなく、栗農園の売店で栗を買い、農園のおじさんが、イガの付いた枝をおまけしてくれ、帰宅しました。

 

でもその日は、初めて次男が自ら進んで絵日記を描いたのです。

もちろん、まだ文字は書けないので、彼の言葉を代筆します。

発音は不明瞭ながら、栗、コロコロという単語は何度も出てくる絵日記(絵は、斜めの線のみでしたが、斜面を転がって行く様を描いていたのでしょう。)を、描き上げました。

もう嬉しくて嬉しくて、褒めちぎっていると、長男は、絵日記の課題なんてないのに栗農園の犬の絵を描いて対抗してきました。

二人とも、栗の絵なんか1つも出てこないのは、親としてはちょっと残念でしたが、長男は車の中で、犬の話ばかりしていたし、心を掴まれるものって、意外な事なんだなと、シミジミ思ったものです。

その週の絵日記のお勉強は、初めて満面の笑みで、栗拾いの話を、‥というより栗が山の斜面を転げ落ちる話を嬉しそうにしていました。

おまけに、長男が描いた栗農園の犬の絵を一緒に持っていき、お兄ちゃんは蚊が沢山いるから、栗は少ししか拾わず、犬と遊んでいましたというようなお話までしていました。

これをキッカケに絵日記嫌いは克服しました!とは、なりませんでしたが、

子供って正直だから、楽しいこと、心を掴まれるような出来事があると、こんなに能動的にやってくれるんだなぁと、改めて気づかされた出来事でした。

 

その次に彼が嬉々として絵日記に描いてくれたのは、栗農園のおじさんにおまけにもらったイガ付きの栗の枝のお話。

下駄箱の上に数個の栗と一緒に飾っておいたのですが、ある日の朝、栗の回りに10匹以上のウジ虫が湧いていました。

長男を幼稚園に送り、次男とさあ、ろう学校に行こうとした時に気がついて、あまりの気持ち悪さに二人で大騒ぎ。

結局、栗とウジ虫をレジ袋で包んで処分したものの大遅刻。

でも、その時も、学校に着くと、自ら絵日記を描き始め、嬉しくて泣きそうになっていたことを懐かしく思い出します。

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実は近所にも栗の木が10本ぐらいの栗畑❓があり、沢山実をつけていました。