家を買うって実は凄くリスキーなんじゃないかと、しみじみ思った隣街に住んでいた頃のお話。
ちょっと意地悪おばさん目線ですが、お許しあれ。
隣街に住んでいたのはもう10年以上前になる。
思いがけず早く関東に戻る異動となったのだが、自宅を賃貸に出していて契約期間が残っていたし、退去した後に内装のリフォームをする予定だったので、隣街に仮住まいすることにした。
隣街といっても車のナビで8kmぐらいで、うちと同じようなトカイナカって感じのところ。
トカイナカって、住環境は田舎だけど、そこそこ都会の便利さも兼ね備えている街。
駅から徒歩15分はちょっと辛いけど、夫が大きい車が好きなので敷地内の駐車スペースを勘案すると、そこしか選べなかった。
築5年の建売り住宅。オーナーはアメリカに転勤になったとかで定期借家の条件で借りることになった。
でも‥。
いつも思うのだけど、なんだかなあと思わせる家だった。
道路位置は東道路で、南北に沿って建売り住宅が3棟並んでて、1番南側の家。
そしてその区画の1番の南側は建売り住宅の3つ分の敷地に2つ分ぐらいの大きさの、いかにもハウスメーカーが建てましたという感じの注文2世帯住宅。
カーポートは2台余裕でとめられ、敷地の奥にトラクターがとまっていたから、その家の西側の畑はこの家ものなんだろうなぁと、想像出来た。
きっと畑を切り売りして、そこが建売りになりそのお金で自分達が豪邸建てたんだろうなーっと勝手な想像をして、既に色眼鏡で見ている私。(笑)。
とりあえずご近所さんに挨拶に行くと、現在のうちから8kmぐらいしか離れていないのに住民の雰囲気は全く違っていた。
まず町内会。
息子達は高校生と中学生だったので、子供会には縁のない年になっていたし
町内会入会は会費払って掃除などの奉仕する立場なんだろうなと思って、入会してあげるぐらいの気持ちでいたのだけど、何と、入会金7万円と、年会費1万2千円だという。
え!高っ!今住んでいるところはそもそも入会金ないし、年会費2400円。
うちは仮住まいで長くても1年半でまた引っ越すので入会金は辛いと言っても
数年前に地区の集会所の建て替えをして入会金はその分担金だという。建売りのオーナーが既に支払っているし、長く住むわけではないからと言ってもダメだった。
賃貸住宅の人も払っているんですか?と聞くと町内会に入ってないと言う。
うちも、さすがに7万円は辛いから入らなくてもいいですか?と聞くと、あっさりOKなので入らなかった。
町内会に入らなかったとご近所さんに知れると、途端に態度が変わった。
それまでは、うちが転勤族の仮住まいと挨拶したので、勝手にこの家のオーナーと同じ会社の人と勘違いされ、この家のオーナーは某有名企業の研究職でアメリカに栄転して、実家が10分ぐらい離れたところにあるとか、個人情報ダダ漏れ状態でオーナーを気の毒に思うほどだったが、ピタリと、会話が無くなった。
さすがにゴミ集積所を使うなとは言われなかったが、回覧板は飛ばされるので町内会の掃除の日程も分からず結果、知らんぷり。
この家のローンを払っている身でなくてホントに良かったと、つくづく思った。
また、お隣さんがアレだった。(笑)。
最初に挨拶に行った時は同世代ぐらいのご夫婦が出てきたが、口数が少なく、こちらがよろしくと挨拶しても『はあ』という感じなので早々に引き上げた。
新学期が始まると、2階の子供部屋の息子達が『ちゅーしてる!』っと大騒ぎしている。
毎朝、お隣さんの家に高校生ぐらいの男の子が迎えて来ているのがうちのリビングから見えていたが、2階の子供部屋からは、その男の子と、その家の女の子が毎朝ちゅーしているのが丸見えだった。
お隣さん、高校生ぐらいの女の子が居たんだと思ったけれど、いかにも‥というタイプで、本人達は自宅から死角になると思って、毎朝あーんな事やこーんな事していたらしい。(笑)
でも、うちの2階から丸見えなんだよね。
で、息子達は、カーテンの隙間から毎朝、『うわぁ、またやってる!』なので、慣れてしまったらしく騒がなくなってしまったのも、どうしたものか(笑)。
で、真打登場。
ある日の夜中、羽が付いているような紫色の車体で紫系の電飾を施した、いかにもという軽自動車が、大音量の音楽と、無駄に大きなエンジン音を響かせ隣の家のカーポートに入っていった。
あまりにうるさいので、カーテン越しにこっそりと見てみると、あの東名高速で煽り運転をして事故を誘発させた犯人のようなゴリラ 君登場。(我ながら悪意に満ちた表現だと思う。)
もしかして、お隣さんの息子?
嫌な予感は的中して、程なく赤ちゃんを連れた女の人も現れた。
きっとデキ婚に違いない!と、我が家では勝手に噂していたのだけど。
お隣さんは、いかにも農家という日焼けしたじいちゃんと、私と同世代ぐらいの夫婦と、ちゅーの女の子とゴリラと、その嫁と赤ちゃんの、4世代同居のはず。
大きな家だから、いきなり転がりこんできても大丈夫なんだろうけれど、
ずーっと赤ちゃんが泣いている。朝も昼も夜も。
大人の手が沢山あるだろうに誰もが無関心という雰囲気。
なんだかなぁ。こんな人達がこんな立派なおうちに住んでて、なんだかねえ。
うちの家族もお隣さんに対して、いい印象を持っていないこともあり、
そういうネガティブ感情ほど伝わってしまうようで、ゴリラ君と目があうと睨まれてしまう。
夫がバラエティー番組に出ている時の梅沢富美男そっくりな人なので、いつかゴリラ君とトラブルになるのが心配だったが、ついにトラブル勃発。
ゴリラ君が自慢の紫の羽の生えた軽自動車を自宅前の道路で磨きあげていた。
タイヤを黒光させるワックスのようなものを塗っていたようで、自宅のカーポートを汚さないように道路で作業をしていたらしい。
そこへ、タイミング悪く車で外出していた、うちの梅沢富美男様が帰宅した。
道路幅は4mぐらいで、路駐されてしまうと、すれ違うことが出来ない。
そこで、軽くクラクションを鳴らしたところ、ゴリラ君、激怒して怒鳴りちらしたところで、お隣さんが出てきて、うちの梅沢様に引き返して周り道して欲しいと願い出た。
呆気に取られたものの、お隣さんもゴリラ君に手を焼いているんだと忖度して周り道をして帰宅。
その後はゴリラ君、更に敵意剥き出しで睨んでくるようになった。
心から、この家が自分のものでなくて良かったと思った。
それからしばらくして、自宅のリフォームも済ませて、自宅へ戻った。
心からホッとした。
それまでは、長男のママ友関係で嫌な思いをしたこともあり、なんでこんなところに家を買ってしまったんだろうとまで思ったこともあった。
でも、両隣とは良好な関係だし、とりあえず身近に変な人がいないって、
凄くラッキーな事なんだってしみじみ思うし、家に愛着が湧いてきた。
テレビのワイドショーで時々隣人トラブルの話題があるが
変な人が隣に引っ越してきたら、物件価値が一気に下がってしまうし、簡単に引っ越せないし、家を買うって実はリスキーだったんだと思っている。